カーオーディオのデッドニングについて紹介

簡単にできるカーオーディオのデッドニングについて紹介します。

デッドニングとは、英語の「deaden」が語源のようで、スピーカーを取り付けるドアをエンクロージャー(スピーカーボックス)としてキチント成立するように音質を調整することを言います。

具体的な作業として、スピーカーを取り付けるドアの余計な振動を抑制したり、音が漏れないようにサービスホール(ドアの鉄板に開いている作業用の穴)を塞いだりします。

今回はホンダライフ(JB5)を例に実際の施工例を紹介します。
簡単にできて、かなり音が良くなるのでおすすめですよ。

デッドニング作業の詳細

1.こちらが今回使用するホンダライフ(JB5)です。

ホンダライフJB5

 

2.まず初めにリアスピーカーのデッドニングからはじめます。

リアスピーカー

 

3.カバーを外すとこのような感じです。一応17cm径のフルレンジスピーカー(純正)が付いています。

純正スピーカー

 

4.取り外した純正スピーカーです。

純正スピーカー正面

 

5.裏を見ると申し訳ない程度のマグネット&コイルが付いています。

純正スピーカー裏側

 

6.こちらが今回交換する中古のスピーカー(ジャンク品)です。純正のバッフル(スピーカーが取り付けられている金具)にそのまま取り付けできました。スピーカーとバッフルの間には100円均一ショップで入手したフェルトを2重にして挟んであります。

ジャンクスピーカー

 

7.裏側です。こうやって背面から出る音が漏れないように防音対策しています。それと同時にバッフルとスピーカーの間にフェルトを挟むことで密着性を高め、余分な振動が発生しないようにしています。安いフェルトで一石二鳥の対策です。

ジャンクスピーカー裏側

 

8.これを左右のスピーカーについて施工します。端子部分は純正スピーカーのものを流用してはんだ付けしました。

ジャンクスピーカー左右

 

9.スピーカーを元に戻します。見ての通り隙間だらけなので、隙間をどうにかしないといけません。隙間があるとスピーカーの背面から出る音と、スピーカー全面から出た音が干渉して、周波数特性にピークや谷が発生してしまいます。

リア側の隙間

 

10.リアスピーカー部分のデッドニングを施工した後の写真です。まず、隙間部分については吸音材をちょっと「きつめ」に詰め込んでスピーカー背面からの音を吸収すると共に、余分な共振を抑えます。吸音材は「不要なタオル」とかでもOKです。「吸音する周波数が」なんて細かいことは言いません。とにかく音が干渉しないことが重要です。また、スピーカー背面の音と前面の音がぶつからないようにスピーカーの周りをスポンジでも覆います。(リア側のデッドニング完了)

リア施工完了

 

11.リアスピーカーのデッドニングが完了したので次はフロントスピーカーのデッドニングを行います。

フロント取り付け場所

 

12.カバーを外すとこのような感じです。本来サービスホールを塞ぐのですが、今回は簡易的におこなうので、サービスホールはそのままにします。また良さそうなジャンクスピーカーが手に入らなかったので、残念ですがスピーカーもそのまま使用しました。で、何をするかというと。。。

フロントカバー取り外し

 

13.スピーカーの周りを不要なタオルで囲います。これはスピーカー背面の音と前面の音がぶつからないようにするためなのですが、スポンジよりもっと強力に対策したいので、不要なタオルを使用しました。吸音というより遮音に近いイメージです。どのくらい囲むかというと、再度カバーを取り付けるときにちょっときついかなぁと感じるくらいきつめに囲んでください。とにかく音が干渉しないことが重要です。

フロントのタオル

 

14.デッドニング後の音を試しに聴いてみると、どうしても高音が足りないのでジャンク品のツイーターを取り付けました(純正のスピーカーは高音が出ません。) イコライザーで高音を足してもよいのですが、やっぱりイコライザーで味付けするより、ツイーターで高音を足したほうが自然な良い音がします。ツイーターの音量については取り付け位置でアナログ的に調整します。当たり前のことですが、耳から離れた位置に取り付ければ高音の音量が下がりますし、近づければ音量が大きくなります。案外こういったアナログ的な対策が音質に良い結果を与えます。イコライザーとかで電気的にイジルより音が自然なんですよね。

取りあえずデッドニングの作業はこれにて終了です!

追加ツイーター

 

15.最後にアンプ部分を紹介します。これP社の結構古い1DINのアンプです。このアンプの最大の長所は周波数とQがかなり自由に変更できる専用のイコライザーが使用できることです。特に低音側の細かい設定が出来るのが良いのです。今の設定だと中心周波数80Hz、Qを一番狭くして使用しています。

あまりイコライザーを使用するのは好きではないのですが、ウーハーもありませんし、低音の調整だけはどうしてもイコライザーの力が必要になります。それも単純に低音を増幅出来れば良いというような使い方ではなく、低音部分のピークや谷の調整をするために使用するので、かなり細かい設定ができるイコライザーでないとダメです。

最近のお手頃価格の1DINアンプはイコライザーがおまけ程度にしか付いておらず細かな設定が出来ない製品が多い気がしています。たぶんユーザーからのニーズが無いからだと思いますが、私にとってはお手頃価格で購入できるおすすめ1DINアンプが存在しなくなってしまったので困ったものです。

1DINアンプ紹介

 

デッドニング後の音はどうなった?

とにかく音が「すっきり」します。デッドニングの一番のポイントはスピーカー背面の音と前面の音が干渉するのを極力抑えることだと思っていますので、この効果がかなり現れています。車の場合、ロードノイズが300Hz付近にありますので、もし低音をイコライザーで強調したい場合は、100Hz以下の音を強調することをおすすめします。

こうすることでロードノイズの周波数と音がかぶることがなくなり、少し低音が物足りないと感じるかも知れませんが聴き疲れない良い音になるかと思います。

最近の車の純正カーオーディオはだいぶマシになったと思いませんか?すべての車を知っているわけではありませんが、10年以上前の車の純正オーディオ。特にスピーカーシステムは本当に酷いものでした。今でもスピーカー単品はかなりコストダウンされているので、大きな変化はないのだと思いますが、問題はスピーカーのエンクロージャーとして機能する車のドア部分の構造で、音響特性は無視で、ただ音がすればよいというような感じでした。

その頃から音質にこだわりがあった私は純正カーオーディオの音が聴くに堪えられず様々な工夫をしました。よく言われるスピーカー交換も沢山行いました。「色々な雑誌に純正スピーカーを交換するとすごく音がよくなる」と書いてありましたし、「スピーカー交換したら音が良くなった」という話も人から結構聞いていました。それで、私自身もスピーカー交換をしてみて、確かに音が良くなるのですが、なんだか不自然な音なのです。

今になれば解るのですが、スピーカーを取り付けるドア自体が共鳴して低音の特定周波数が「ポンポン」と太鼓のように鳴るのです。これは全く周波数のコントロールがされていないバスレフスピーカーのようです。特定の周波数のみが強調されるので、音源によって低音の鳴り方もばらばらです。

このことがきっかけで「やはりスピーカーではなくエンクロージャーとして使用するドア側をどうにかしないとダメだ。」とデッドニングの大切さを実感するようになりました。

今回ご紹介したデッドニングの方法を行えばある程度「ポンポン」鳴る周波数のピークが抑えられるかと思います。その一方、低音が「ポンポン」鳴る感じが薄れるので大人しく物足りない音と感じる方もいるかも知れません。でもこの音の良さは長時間聴くと違いが良く解ります。「ポンポン」低音が鳴る音は一聴すると、低音が良く鳴っていて良い音のように思えるのですが、不自然な音なので長時間聴くと非常に耳が疲れます。それと比較して、デッドニングを施工した音は、花はないけれど自然な音に近づくので、長距離のドライブをしても聴き疲れない優しい音になります。

デッドニングは車ごとにドアの形状が異なるため、この記事と同じ方法で施工しても必ず上手くいくとは限りません。ただ、抑えるポイントは同じですので、色々と試行錯誤してみるのも面白いと思います。

今回の記事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。