ちょっと復習。意外と知らない圧縮音源(MP3)のひみつ
最近当たり前すぎて話題にならないMP3など、音楽の圧縮技術について超簡単に復習しましょう。という内容です。
MP3のデータはCDの10分の1
MP3のデータ量はCDの約10分の1(128kbpsの場合)です。
1分の曲が約1Mバイトに圧縮されます。
この圧縮技術とフラッシュメモリーの大容量化と低価格化が空前のポータブルオーディオブームを巻き起こしました。
とっても小さなメモリーの中に、家にあるCDがすべて入ったりします。
音質は別にしてこれはとても便利です。
ここで言う「圧縮」という言葉。
パソコンのZIPファイルなどであれば圧縮したファイルを完全に元の姿に戻すことができます。
しかし、MP3をはじめとした殆どの圧縮音源は元のCDと同じデータに戻すことができません。
このことを「不可逆圧縮」と言います。
反対にZIPファイルのように元に戻せる圧縮は「可逆圧縮」いいます。
ですのでMP3はよくCDと同じ音質だと言われていたのですが、実際はかなりのデータを削っている(捨てている)のです。
それではCDと比べて10分の1(90%)もの部分をどのように削っているのでしょう。
これには人間の耳の特徴を上手に利用した技術が利用されています。
1.人の耳は高い音と低い音で感度が違う
人の耳は「高い音」について多少の音量変化があっても音量が変化したように聴こえません。
逆に「低い音」は、少しでも音量の変化があると敏感に感じ取ることができます。
この耳の特徴を利用して、高音側の音量データを削除してデータ量を小さくします。
2.人間の耳は非常に小さい音は聴こえない
人の耳は周波数によって聴くことのできる一番小さい音量が決まっています。
人の話声の2kHz~5kHz付近が一番小さい音まで聞こえます。
それ以外の「低い音」や「高い音」は、ある程度音量を上げないと耳で聴くことができません。
ですので、小さい音量の「低い音」や「高い音」のデータは丸ごと削ります。
元々耳で聴こえない訳ですから問題がないのです。
3.大きな音の後ろで鳴る小さな音は聴こえない
似た周波数帯域で、いくつかの音が同時に鳴っている場合、人の耳は一番大きな音しか聞こえていません。
人が騒いでうるさい中で、小声で喋っても聴こえないのはこのためです。
ですので大きな音に隠れてしまう小さな音は元々耳で聴こえないので削っても問題ないのです。
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上記3つの耳の特徴から、耳が聴こえない反応しない部分をバッサリ削るのです。
逆を言えば、耳に入る情報の90%はあっても無くても構わない情報ということになります。
でもですよ。128kbpsのMP3はさすがにCDとは明らかに違います。
「CDと同じ音質」はちょっと言い過ぎかなぁと思うわけです。